語源を考える〜『キョウジョシギ』

キョウジョシギの語源についてネット辞書等を見てみよう。

Wikipedia
キョウジョシギ
和名は、よく目立つまだらもようを京都の女性の着物にたとえてつけられたもの。

‖ 日本の鳥百科 ‖
キョウジョシギ
夏羽のときは白・黒・栗色のだんだら模様が、京の女が着る衣装のような派手な色彩をしているところから「京女(キョウジョ)」シギになったといいます。

‖ 徒然野鳥記 ‖
キョウジョシギ
……
この背中の色彩が、大変雅やかな和服にも見えることから、京の女性に譬えて京女シギと和名が付けられました。確かに、じっと動かないままでいますとおしとやかに見えますが、残念ながら、エサを採る動作は、実にがさつです。せわしなく貝殻や小さい石、海草を嘴で跳ね除け、その下のゴカイや昆虫類を捕食します。私自身は目撃したことはありませんが、どうも動物の死骸やゴミなどもエサの対象にするようです。ある説によりますと、エサの中で、動物の死骸を食する比率は、このキョウジョシギがシギ科の中でも最も多いとされています。
また、この和服になぞらえられるきれいな背中の模様も、オスの夏羽にだけいえることで、オスの冬羽やメスの羽はかなりくすんでしまいます。どうもこの和名は、この鳥の特徴を表現する上では、あまり正確とはいえないようです。ただ、この鳥は、様々な鳴き声を発しますが、「キョウ」とか、「キョッキョッ」と鳴くことからこの和名がついたのかもしれないと推測する方もいます。鳴き声は、この他に、「ピリリリ」とか「ピョウピョピョ」とも聞こえる鳴き方もします。

‖ 野鳥辞典 ‖
キョウジョシギ(京女鷸)
キョウジョシギ(京女鷸)の華やかな夏羽を京女に見立てたのが和名の由来。

‖ 日本の鳥 ‖
キョウジョシギ(京女鷸)
名前の由来
キョウジョシギは、江戸時代前期から「きょうぢょしぎ」の名で知られていた。そこには、羽色が京女のように美しいと書かれているのであるから、悪い気はしないだろう。
ただ、名前の由来には他にもあって、ギョッ、ギョッという鳴き声を「キョウジョ」と聞きなしたという見方もあるようだ。
出典:【図説】鳥名の由来辞典 菅原浩・柿澤亮三編著 柏書房


語源を「京女」とする説が多く(「京女の着る着物」とする説もキョウジョの由来は「京女」からとしているわけだから一緒にしていいだろう)、他に鳴き声由来説もあるという状況のようだ。
ここで疑問に思うのは「京女」をキョウジョと言うだろうかということ。広辞苑(初版・第四版)で見ると『きょうじょ』の項目に『狂女』『興女』『俠女』は有るが『京女』は無い。
ただ、岩波古語辞典に『京女郎』は有るのでキョウジョシギのキョウジョが『京女郎』の略ということは考えられる。
能における『狂女』の舞に譬えたということも考えたが、この鳥は優雅に空中を舞うという鳥ではなく直線的にビューッと飛んでいく鳥のようなので、これは無さそうだ。
また『俠女』は無いだろうし、そうすると『興女』が残る。『興女』とは遊女のことで、姿の派手さとしぐさのがさつさを併せ持つ点で一番蓋然性が高いのではないかと思う。