詩 宝石の時間

  ☆宝石の時間

二十六年ぶりに きみに出会えて
これからは
三年ごとに会えることに なったものの
ぼくらはもう五十一になってしまった

のこされた人生
会えるのは せいぜい十回
その一回一回が
宝石のような時間になるね

昔の二人は
気持の行き違いの連続で
一緒にいても
つらい時間ばかりが長く
楽しい時間は
ほんの僅かしかなかったね

二人とも無口で意地っぱりで
言いわけがましいことなんか
言いたくなかったし
そうして小さな誤解から
溝がどんどん広がってゆくのを
どうすることも できなかった
本当は愛していたのに

はじめてだったかも知れないね
このあいだ きみと過した時間
あんなにも楽しく
時が流れて行ったのは

のこされた人生
会えるのは せいぜい十回
その一回一回を
宝石のような時間にしようね