詩 再会

  ☆再会

四半世紀の時の流れのはてに
こんな喜びの日のあることを
昨日までのぼくに
どうして想像できたろう

ぼくの中で
あなたは遠い人だったから

あなたを遠い人とぼくは思いこんでいたから

あなたを遠い人と
ぼくは思いこもうとしていたから

四半世紀の時の流れをこえて
あなたは突然
ぼくの前にあらわれた
こぼれるような笑顔とともに

何の
心の準備もなかったぼくは
思いがけず
本当に まったく思いがけないことに
とっさに
せいいっぱいの笑顔を
あなたに返していた

そのとき はじめて
ぼくには わかったのだ
あなたが どんなに深く
ぼくを思ってくれていたかが
ぼくの中で
あなたが かけがえのない人であることが

ああ
ぼくのソルヴェーグ
かなしいことに
覆水を盆に返すことは もはやできない
そして
盆を覆したのは このぼくだ

四半世紀の昔 ぼくのしたことを
とがめだて一つしなかった
あなたの はかりしれない優しさに
ああ
ぼくは いったい何を返したら
いいのだろう