詩 わかれ

  ☆わかれ

いちまいの
みず色の かみの上に
ひとつの
すきとおるような かなしみがういていた

みず色の かみは
ぼくの にがい海のなかで
ぼんやりと ゆれていた

つめたい緊張が
ふゆの朝日のような
まぶしさだった

あなたが ほろびさろうとする ひととき
ぼくの海は
どれだけの血に そまらねば ならないか
どれだけの罪に たえねば ならないか

いつか
ぼくの海の
見えない岩かげに
あなたの
苦しげな ひとみを
おもう時

ぼくは そこで
どんなことばを
殺そうとするのだろうか