2015-03-09から1日間の記事一覧

詩 予感

☆予感きみは本当に不思議な人だ 大学入学直後 きみと はじめて話した 十九のときから ぼくは そう感じてたぼくが一浪したと言うと きみは 『もし今年も受からなかったら どうしてた』と尋ね ぼくは 『たぶん二浪していたと思う』と答え すると きみは 『大学…

詩 宝石の時間

☆宝石の時間二十六年ぶりに きみに出会えて これからは 三年ごとに会えることに なったものの ぼくらはもう五十一になってしまったのこされた人生 会えるのは せいぜい十回 その一回一回が 宝石のような時間になるね昔の二人は 気持の行き違いの連続で 一緒…

詩 再会

☆再会四半世紀の時の流れのはてに こんな喜びの日のあることを 昨日までのぼくに どうして想像できたろうぼくの中で あなたは遠い人だったからあなたを遠い人とぼくは思いこんでいたからあなたを遠い人と ぼくは思いこもうとしていたから四半世紀の時の流れ…

詩 沈丁花

☆沈丁花春先 沈丁花の香りに気づいて 白と臙脂の小さな花たち を見やる時 いつもきみのことを 想ってしまうあれからもう 二十九年もの歳月が 過ぎてしまったきみの就職がきまり 叔母さんの家を出て 下宿先に引越す予定だったその日 雨で引越しできなかったき…

詩 小鉄への挽歌

☆小鉄への挽歌こてっちゃん…と呼んでみる うららかな春まっさかりの陽ざしのなかに 消えていったおまえぼくの腕のなかで おまえは眠りながら はかなくなって行く ぼく達のわかれは きっとそんなふうに訪れると ぼくはずっと信じてきたというのにこてっちゃん…

詩 わかれ

☆わかれいちまいの みず色の かみの上に ひとつの すきとおるような かなしみがういていたみず色の かみは ぼくの にがい海のなかで ぼんやりと ゆれていたつめたい緊張が ふゆの朝日のような まぶしさだったあなたが ほろびさろうとする ひととき ぼくの海…

詩 悔恨

☆悔恨あなたの中に あの日の あの わずかばかりの時間は どんな形に のこっているのだろうか どんなメロディーを しらべているのだろうかすぎさった秋のかずなど いまさら かぞえたくもない ぼくは ただ 雨がふるたびに あの日の あなたが すこしづつ とろけ…

詩 はじめに

最後に詩を。 散逸してしまったものが多く、手許に残ってるのは僅かだけど。