語源を考える〜『キョウジョシギ』

キョウジョシギの語源についてネット辞書等を見てみよう。‖ Wikipedia ‖ キョウジョシギ 和名は、よく目立つまだらもようを京都の女性の着物にたとえてつけられたもの。‖ 日本の鳥百科 ‖ キョウジョシギ 夏羽のときは白・黒・栗色のだんだら模様が、京の女が…

語源を考える〜『フクロウ(梟)』

「日本語源大辞典」(前田富祺監修、2005年、小学館)の『ふくろう』の項目にはこう書かれている。ふくろう[ふくろふ]【梟】 フクロウ科の鳥。全長約50センチメートル。頭部はきわめて大きく、顔はほぼ円形。頭上に耳状の羽はない。昼は森林の木のこずえで…

語源を考える〜『きんたま』

『きんたま』の語源について、「日本語源大辞典」(前田富祺監修、2005年、小学館)にはこう書かふれている。きん-たま【金玉・睾丸】 睾丸の俗称。✦天正本節用集 1590 [語源説] ❶イキノタマ(生玉)の上略音便か〈大言海〉。 ❷キビシタマ(緊玉)の義。キ…

語源を考える〜『みなみ(南)』

方角を表す『みなみ(南)』の語源について「日本語源大辞典」(前田富祺監修、2005年、小学館)にはこう書かれている。みなみ【南】 方角の名。日の出る方に向かって右の方向。十二支では午(うま)の方角に当たる。✦初出:蜻蛉 974頃 [語源説] ❶ミナミ(…

語源を考える〜『たけなわ』

「日本語源大辞典」(前田富祺監修、2005年、小学館)には『たけなわ』の語源についてこう記述されている。たけなわ[たけなは]【酣・闌】(名)(形動) ある行為・催事・季節などがもっともさかんに行われている時。また、それらしくなっている状態。やや盛り…

語源を考える〜『わくらば(病葉)』

『わくらば(病葉)』の語源について、日本語源大辞典(前田富祺監修、2005年、小学館)にはこう書かれている。わくら-ば【病葉】 病気や虫のために朽ちた葉。特に夏頃、紅葉のように色づき枯れた葉。✦初出:匠材集 1597 [語源説] ❶ワクルハ(別葉)の意〈…

語源を考える〜『しぐれ』

『しぐれ(時雨)』の語源について「暮らしのことば語源辞典」(山口佳紀編、1998年、講談社)にはこうある。 《時雨(しぐれ)》 晩秋から初冬にかけて、一時ぱらぱらと降ってくる小雨。風が強まって急に降ったり、すぐ止んだりする。「時雨」は、時に降る…

語源を考える〜『ナナカマド』

Wikipediaのナナカマドの項目にはこんな記述がある。 語源 「ナナカマド」という和名は、“大変燃えにくく、7度竃(かまど)に入れても燃えない”ということから付けられたという説が広く流布している。その他に、“7度焼くと良質の炭になる”という説や、食器に…

語源を考える〜『つたなし(つたない)』

『拙し(口語:拙い)』の語源について、日本語源大辞典(前田富祺監修、2005年、小学館)にはこうある。 《つたな-い》 【拙い】 能力や品格など、物事が劣っているさまについて広く用いる。✦(初出)西大寺本金光明最勝王経平安初期点 830頃 [語源説] ❶…

語源を考える〜『ぐれる』

「悪の道に入る」の意味の『ぐれる』の語源について「暮らしのことば語源辞典」(山口佳紀編、1998年、講談社)には、こう書かれている。 《ぐれる》 不良になる。悪の道に入る。 語源は、グレハマのグレに活用語尾をつけて動詞化したものという。グレハマは…

詩 予感

☆予感きみは本当に不思議な人だ 大学入学直後 きみと はじめて話した 十九のときから ぼくは そう感じてたぼくが一浪したと言うと きみは 『もし今年も受からなかったら どうしてた』と尋ね ぼくは 『たぶん二浪していたと思う』と答え すると きみは 『大学…

詩 宝石の時間

☆宝石の時間二十六年ぶりに きみに出会えて これからは 三年ごとに会えることに なったものの ぼくらはもう五十一になってしまったのこされた人生 会えるのは せいぜい十回 その一回一回が 宝石のような時間になるね昔の二人は 気持の行き違いの連続で 一緒…

詩 再会

☆再会四半世紀の時の流れのはてに こんな喜びの日のあることを 昨日までのぼくに どうして想像できたろうぼくの中で あなたは遠い人だったからあなたを遠い人とぼくは思いこんでいたからあなたを遠い人と ぼくは思いこもうとしていたから四半世紀の時の流れ…

詩 沈丁花

☆沈丁花春先 沈丁花の香りに気づいて 白と臙脂の小さな花たち を見やる時 いつもきみのことを 想ってしまうあれからもう 二十九年もの歳月が 過ぎてしまったきみの就職がきまり 叔母さんの家を出て 下宿先に引越す予定だったその日 雨で引越しできなかったき…

詩 小鉄への挽歌

☆小鉄への挽歌こてっちゃん…と呼んでみる うららかな春まっさかりの陽ざしのなかに 消えていったおまえぼくの腕のなかで おまえは眠りながら はかなくなって行く ぼく達のわかれは きっとそんなふうに訪れると ぼくはずっと信じてきたというのにこてっちゃん…

詩 わかれ

☆わかれいちまいの みず色の かみの上に ひとつの すきとおるような かなしみがういていたみず色の かみは ぼくの にがい海のなかで ぼんやりと ゆれていたつめたい緊張が ふゆの朝日のような まぶしさだったあなたが ほろびさろうとする ひととき ぼくの海…

詩 悔恨

☆悔恨あなたの中に あの日の あの わずかばかりの時間は どんな形に のこっているのだろうか どんなメロディーを しらべているのだろうかすぎさった秋のかずなど いまさら かぞえたくもない ぼくは ただ 雨がふるたびに あの日の あなたが すこしづつ とろけ…

詩 はじめに

最後に詩を。 散逸してしまったものが多く、手許に残ってるのは僅かだけど。

露出形・被覆形の起源について⑨

Ⓖ露出形 o 〜被覆形 a 対応型☆siro(白)〜sira sira-ka(白髪) sira-kasi(志邏伽之=白樫) sira-katuku(白香付) 註、意味未詳。枕詞。 sira-kÏ-wonö(新羅斧) sira-ku(白く) 註、下二段活用の動詞。 sira-kumo(白雲) sira-sagi(白鷺) 註、ギの…

露出形・被覆形の起源について⑧

Ⓕ露出形 ï ( i )〜被覆形 ö ( o )対応型☆awi(藍)〜awo awo(青) 註、上代においては複合語の中で使われた例が多いが、露出形として使われた例もある。 awo-unafara(青海原) awo-uma(青馬) awo-kaki(青垣) awo-kusa(青草) awo-kubi(青衿) aw…

露出形・被覆形の起源について⑦

Ⓔ露出形 ï ( i )〜被覆形 u 対応型☆isi(石)〜isu isu-nö-kami(石上)☆kamï(神)〜kamu kamu-agaru(崩る=神上る) kamu-oya(神祖) kamu-gakari(神懸) kamu-kaze(神風) kamu-gatari(神語) kamu-kafi(神穎) kamu-kara(神随=神柄) kamu-kï…

露出形・被覆形の起源について⑥

Ⓓ露出形 e 〜被覆形 i 対応型☆te(風、方角)〜ti idu-ti(何処=何方) ko-ti(東風) faya-ti(疾風) si-fasu(十二月=風駈す) 註、以下のシはチの子音交替形。 ara-si(嵐=荒風) ni-si(西、西風) fi-muka-si(東)☆fe(方)〜fi sö-ga-fi(背向=…

露出形・被覆形の起源について⑤

Ⓒ露出形 ë 〜被覆形 i 対応型 ※被覆形が連母音のうち後続母音ではなく先行母音が脱落したとみられる特異な例。☆fë(瓮)〜fi mo-fi(■〈土偏に完〉) 註、モは「盛る」の語幹。

露出形・被覆形の起源について④

Ⓑ露出形 ë( e )〜被覆形 ö( o )対応型 ※被覆形が a の母音交替形 ö で対応している型☆kë(日)〜ko ko-ti(東風) 註、東風を意味するコチはヒムカシよりも古い語彙で、元は東方と東風の二つの意味を持っていたと思う。ヒムカシのヒと同様にコチのコも元…

露出形・被覆形の起源について③

☆nafë(苗)〜nafa nafa-sirö(苗代)☆nifë(贄)〜nifa nifa-kï(庭酒=贄酒) 註、キは甲類・乙類双方の表記が見られるが乙類が古形とみる。二へは本来「神に捧げる食物」の意だが、ここでは転じて「神聖な」「めでたい」の意味で使われていると思われる。…

露出形・被覆形の起源について②

語例は無印のものは時代別国語大辞典上代編(以下、上代語辞典と略す)、❂印のものは岩波古語辞典に拠った。Ⓐ露出形 ë( e )〜被覆形 a 型☆akë(朱)〜aka aka-kagati(赤酸醤) 註、赤いホオズキ。 aka-gane(銅) aka-kinu(赤絹) aka-goma(赤駒) aka-…

露出形・被覆形の起源について①

「『ねこ』の語源を考える」を何とか書き終えたので、引き続き「露出形・被覆形の起源について」を書きたい。とは言っても詳しく書くだけの時間は無いので、基本的な考え方は以前にはてなハイクに書いたこの記事を読んでいただきたい。http://h.hatena.ne.jp…

『ねこ』の語源を考える⑯

日本猫が通って来た道 「『ねこ』の語源━━私の仮説」の所で、日本には紀元前500年頃に猫が渡来したと書きました。しかしこの私の説が成立するためには紀元前500年以前に中国に猫が居なければなりません。通説では中国に猫が入ったのはそれより1000年以上も後…

『ねこ』の語源を考える⑮

唐猫は舶来の猫か? 『からねこ』について、辞書にはこう書かれています。①からねこ【唐猫】舶来のネコ。上流社会で珍重愛翫された。のちには一般のネコにもいう。(岩波古語辞典) ②からねこ【唐猫】(中国から渡来したことから)舶来の猫。(大辞林) ③か…

『ねこ』の語源を考える⑭

『たたけ』について 「大辞林」(三省堂)には『たたけ』についてこう書かれています。たたけ【狸】〔「たたげ」とも〕 (1)タヌキの異名。〔名義抄〕 (2)タヌキの毛。筆の穂に用いる。〔日葡〕 (2)の記事があるのは大辞林だけですが、(1)については…